[それきり静寂を保つつもりだったが、]…… え、[男が足を止めて振り向いたものだから、驚く声とともに足音立ててこちらも止まる。名前訊くだけなら歩きながらでもできるとは思うのだが。足を止めた意味は分からず、ただ、男の目を見返して答えることができる、という事実がある]……わたしは、アイリ。礼なら言う、あの時主を助けてくれたこと。[だから、じ、と見返しながら名乗った後、おもむろに頭を下げたのだった*]