― 記録保管庫>>44 ―
[同室者について随分と細かく観察している。
それだけ気にかけているということなのだろう。]
友人か……身内だと妹さんかしら。
[まるで何かに苛まれているような印象を受ける。
彼女の過去に何かあったのかもしれない。
軍に入る子の中にはそういう経歴を持つ子もいるというから。]
手を握ってあげるだけでも落ち着くかもしれないわ。
あとは、サシャの訴えを肯定してあげるような声をかけるの。
……眠っている間にね?
[幼い頃、悪い夢を見た時に父にしてもらった事を思い出す。
いささか子供騙しの対処療法だが。
ちなみに起きた時に手を握られていた場合のサシャの反応は
おそらくカシムの身に危険が及ぶため
実行する際はしっかり眠っている時のみをお勧めしたい。]
サシャが「同性にしか言いたくない!」
って言ったら私の出番ということにしましょう。
……カシム君は優しいわね。
[話を聞いてみると己の行動を定めた様子に呟いてから、
励ますように肩を軽く叩いて送り出した。*]