― 氷の橋の前で ―
[渡河を追え、空を見る。
一方的に押し込むかと思えば――気配が増えてゆく。
死の気配の満ち退きに、日頃直接鉄火場に出てくることのない技官らは色めき立つが]
慌てるな。ここで諸君が慌てれば、前線で戦っている皆が不安になるだろう。
彼らが押し込まれてきた時の為に、橋を落す準備をしておけ。
[即席で建造した氷の橋のよいところは、落すのもまた科学的に即席で済むという点であった]
[同時に、カサンドラに本部に下がったらどうか、という意見申し立てもあったが……]
魔器の担当者が敵前逃亡などできるか?
[しかし、敵とは誰のことだろう。と、ひどい謎かけでもあった]