もら……っ
[彼の脇腹を切り裂いて、少し動作の重くなった槍を振るう。
動きが大きくなった男の肩が、やや後ろから、痛みを殺した熟練の剣先に切り払われる。]
… !
[どうにか槍を落とさず馬上に堪えるのと、向こうが同じく堪える態で鞍に伏せるのがほぼ同時である。
それに時を同じくして、わあと、傍ら近くに響いた声は───両軍の兵らの声は、短い邂逅の終わりを告げた。
ひゅんと矢の飛び交うに、どちらの陣も慌てて互いの将を取り囲む。
騒ぎを聞きつけた両軍の兵らが駆けつけてきたのだ。]