人狼物語−薔薇の下国

355 グロリアス・マギカ・グラマーティオ-スブ・ロサII


箱入り タイガ

[身なりの良い紳士淑女に囲まれている男は、名をヴィルヘルム・ハネルと言います。
彼の父は稀代の天才と謳われた人形職人でありまして、彼の父の作り上げる人形の美しさたるや名家がいくつも傾いてしまうほど。
特に、最後にして最高の傑作とされる二体一対のドールである“おゆき”と言えば、その美しさに魅了された者は数知れず、窃盗未遂が相次いでしまったのだとか。

日本の怪談の一つ、雪女を元に作られたとされるから“おゆき”という名を付けられたのですが、三年前、このヴィルヘルムがあまりにもその傑作に似ている青年と少女を連れている姿が話題となりまして。
問い詰めれば、その青年と少女こそが“おゆき”のモデルだと彼は言います。

艶やかで細い真っ黒な髪の毛、黒曜石を埋め込んだかのような真っ黒な瞳、日の恵みを知らないのであろう白い肌。
白い和服を身に着けて、雪の中に佇んでいれば、確かに雪女と見紛うような見目ではあります。
少女の方は、未成熟な美しさと官能的な魅力を併せ持っておりまして、それでいてしおらしいものですから、一度彼女と言葉を交わしたいと思う者がいるのも当然でしょう。

ただ、青年の方といえば――]

(48) 2015/07/08(Wed) 13:02:49

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