信じるかどうかはレディ次第。
――どうする、いるか?
[何度も交渉やり取りを重ねているためか。
今日という、濃密な時間を過ごしたためか、イングリッドは疑わなかった。
いつも通りの口調に戻れば、領主もいつも通りの様子で。]
だーから。今まで隠してたんだよ。
ま、俺はこの領と領民に危害が無ければいい。主国の連中は少しぐらい痛い目遭えばいいと思ってるし。
[才媛の中では様々な思考が巡っているようだ。
小国の秘匿。平和に潜む闇。それに手を出す程、愚かな彼女ではない。
領主が頭の隅で、評した通り、イングリッドは武装を解いた。]
[コツン。一際強く、近くにある窓を叩く。
武装解除の合図だった。影はタクマの遣いゆえか、まだ潜んでいるようだったが。過保護の遣いなら仕方ない。放って置こうと思った。]