―バルコニー―
[小柄な狐は、大鴉とさして大きさを違わない。
翼を広げてしまえば、きっと相手の方が巨躯に勝る。
>>43猛る声は重く、射抜く視線は鋭く。
けれど、眼差しを返す狐の緋の瞳は、唯、穏やかに]
(嗚呼、感じるぞ御前から、愛しき金糸雀の痕跡を)
[まるで哂っているようだ。
無邪気に、朗らかに、冷たく、嘲るように。――何を?]
(何をした何をした何をした何をした何をした何をした)
[重ねられる挑発>>44へ、ゆらりゆらりと尾を揺らす。
刹那に弾けた焔。
辺りに散らばる黒い羽根>>39を、焦がし燃やさんとする。
立ち上る煙は、揺らぐ揺らぐ霧のように]