[神殿の中から芽生えるように、それは枝を伸ばし、幹を太らせ、天高く聳え立つ。遠目に見れば、それは木だ。ねじくれた枝が四方へ伸び、ほつれ髪のように絡み合う、枯れ果てた大木の遺骸だ。だが近づいてみれば違うことが分かる。枝は風に依らずに自ら蠢き、近づくものを捕えようとする。根もまた地面を割って飛び出し、絡みつこうとした。枝には無数の"目"が咲き、周囲を見回している。その枝のところどころに実る赤紫の巨大な果実こそが、"侵略者"がこの世界より吸い上げた力であり、巨体を支える要でもある。]