……このまま逃がすわけにはいかぬな。
[機械の翼が天を征く者の飛翔を振り切るなど、あってはならぬことだった。
しかし下級天使らの直線的な攻撃では、自在に舞うあの複葉機に届かせることは叶わぬと見えた。
途切れた聖句を、黙示天使は再び唱え始める]
――天は、全てを見ておられる
罪を犯した人の子に、裁きは過たず与えられん
[黙示天使の周囲に4つの光弾が浮かぶ。
聖句により性質の変化したそれらは、絡み合う螺旋を描いて飛び、複葉機の機動を追うように急カーブで上昇する。
速度を犠牲にした代わり、追尾能力のある光弾は、籠められた力を使い果たすまで執拗に複葉機を追うだろう**]