―緊急事態発生前:花屋Florence―
[これはカレルと別れた後のこと。
店で来期の花を植えるスペースを確保するために、咲き過ぎた花を撤去する作業中。
花粉量の多い花をうっかりと落としてしまい、床に黄色の粉が舞う。]
あーあ、やっちゃったわね。
……は、っは、はっくしゅん!!
……っと、いけない。
[慌てて片づけようとするも、思い切り吸い込んでしまい、おおきなくしゃみを放つ。
咄嗟に口を覆い、盛大にくしゃみをした瞬間、頭の上からぴょこんと飛び出たのは耳。
柔らかい毛の生えた犬のような形をした、動物の耳である。
ついでに腰も確認すると、ふさふさの尻尾が生えている。
瞳孔は縦にすうっと切れ長に伸び、手の爪は鋭く伸びる。
犬歯も心なしか鋭さを増した。]