[一瞬だけ視線があう。こちらを見透かすような色の瞳。>>44
初めて会う顔のはずなのに、その唇から発せられた言葉には眼を見開き呆然とその場に立ち尽くした。
知っている。
その色で、俺をそう呼ぶ君の声。]
――き、みは。
[立ち上がり敬礼をする彼女から今度は視線がそらせない。>>46
知っている。知っている。
その柔らかい血肉を引裂き、口にする愉悦を知っている。
堪え難い渇きが癒え、満たされる至福を覚えている。
繰り返し見るたびに鮮明になるあの悪夢は、ただの夢ではないことなどカスパルはとっくに知っている。]