[獣の動きのおかげで、距離の離れたクレメンスを、気遣う必要はなくなった。目の前の金色の獣>>36に向けて、血塗れの手で、ぐっと引き金を引こうとする。記憶の中の真っ赤な血と、現実の左肩からの出血でぬめる、血まみれの手に、力を籠める。不安定な右手だけの射撃だ。少しでも銃口が逸れれば、当たらないだろう。敢えて箇所を絞らず、広く上半身を狙って。]