[その後、ダーフィトとカークがなにやら小声で話していたことは、知っていたが、内容を知るにはいたらず、エレをNルームへと運ぶ。
装置に入ったエレを見て、また涙が零れそうになったが、グッと堪え、無理にでも笑う。]
エレ、聞きたいって言ってましたよね、ハーモニカ。
遅くなって、すみませんが……。
[いつだったか、自分がハーモニカを演奏することを知ったエレが言った言葉。>>4:95
ポケットからハーモニカを取り出して、軽く数音調整する。
そして、吹き始めたのは、子守唄。
ダーフィトにはリクエストを断られたことを思って、少し苦笑いしつつ、努めて柔らかい音色を出す。
心地よい眠りを。
ふわふわとユラユラと、眠りに誘うゆったりとした響きを。
吹き終わり、パタリとフタを閉めたのはどちらだったか。]
……おやすみ、エレ。
そして、…ノトカー。*