[底知れず暗い次元の裂け目から巨大な手が伸び、召喚主たる魔人の頭を掴み上げる。握りつぶす手の中、彼が歓喜の声を上げたのか、それとも絶望に呻いたのか、もはや知るすべはないだろう。魔人の身体と魂、自身の欠片を触媒として消費し、デーモンロードの影が裂け目から這い上る。岩塊に覆われたような身体は漆黒で、目ばかりが赤熱した石炭の色をしている。頭に備えた一対の角は鋭く、手には光を呑みこむ闇の剣をひとふり握っていた。燃え上がる尾をびしりと床に打ち付け、城を揺るがす声で吼える。]