[鎌を右手に分銅の側を左手に、間の鎖を極力弛ませ長く持つ。
そしてまず投じたのは右手の鎌。
傷により狙いが外れたかのように、それはオズワルドを掠りもせずあらぬ方向へ飛ぶ。
しかし、目的は別にあった]
[研究塔の、翼ある者たちのため開け放したままの窓の一つに、鎌の刃が引っ掛かる。
後翅の加速を止め、無事な左手で、次いで鎌を投じた手負いの右手で、鎖を握り締める]
あああああああっ!!
[気合いの声と共に行うのは、鎖を利用した強引な方向転換。
加速を止めても慣性力により上昇は続き、鎖は張り詰めてぎちぎちと音を立てる。
掌もまた紅を滲ませるが、巻き付けた布の摩擦がどうにか滑りを抑えていた]