[黙祷の後、>>11巫女姫の鈴を振るような声が向けられる。
それは女を今回の一件で処罰する事はない旨と、忠義への感謝の言葉。
巫女姫がそう口にした以上、少なくともこの場において貴族らは口を噤むしかない。
宵藍を映す枯色の奥がじわりと熱くなるのを奥歯を噛みしめて堪えた。]
…有難き、幸せ。
[それだけ口にするので精一杯だった。
穏やかでその奥に強さを持つ笑顔と共に>>12今後も…と続けば、]
はっ。
我らは巫女姫殿下の御為、全力を尽くします。
[言いながら再び頭を下げる。
携えた長剣はナミュール国の為に振るわれるもの。
女の後ろに控える騎士団や生き残った兵らも、女に倣って更に首を垂れる。
甲冑の擦れる音が響いた。]