[開かれた窓の向こう側は、沈みかけた陽光が赤く。気付けばもう日が落ちる頃だったのかと、時の流れの早さに驚きを覚えた。] ………… ぁ、[>>28 唇に、なにかがかすめる。右目は微かに見開かれ、ぱち、と瞬き。 とくん、 小さく心臓が鳴ったのは、] いや、[大丈夫――と続く声も、止まる。いま、何故自分の心臓が鳴ったのだろう。ひとつの戸惑いを抱えて。]