― 大通りの露店 ―[目の前で揺れるものに集中してしまった黒仔猫はリヒャルトの無心にリングへ猫パンチを繰り出す。優しく引き離されれば>>42、包まれた手に白い前脚を添えて視線だけをリングへと向けていた]すまんな。[リヒャルトの手から男の手へと戻ってきた黒仔猫を、逃げないようにそのまま胸へと引き寄せる。揺れるリングが目に入らなくなると、黒仔猫は男の左手の中でもぞもぞと動き回り、やがて丸くなって大人しくなった]