[ その不幸な客の中に、後の帝国扶翼官ルートヴィヒ・アルトハーフェンの姿もあり、あまりの騒音に抗議の意を示した、筈なのだが、残念ながら細かい部分は男の記憶には無い。最終的に「文句があるならお前も歌ってみろ」だの「唄がいやなら飲み比べだ!」だの、無茶振りの絡み酒に発展したらしい事は、後で酒場の亭主に聞いたが、覚えているのは、ルートヴィヒの冷めているようでありながら、どこか愉しむように男を見据えた薄鈍色の瞳の色…ただそれだけだった ]