『ヒト』がいない、って。なら、貴方は一体、何なんですか。[一歩、一歩と近づいてくる姿に胸騒ぎを覚えて、けれど足は動かなかった。問う声に答えがあったかは記憶していない。目を逸らすことすら出来ないまま、やがてその手が頬へと触れて。瞬間、感じたのは微かな恐怖と――妙な高揚感]