──── アルブレヒト!
[名を、古き日の如く名を呼びかけて馬上に槍を構える。
応じるように、彼も武器を構える姿が見えた。
馬に拍車を当て、彼を目掛けて男が駆けだす。
辺境伯を守らんとする者らを抑えるように、どけ。と声がして、その向こうから辺境伯その人の姿が現れた。
瞬時、互いに目を見交わす。
男は槍をやや低く構えて、馬の勢いを乗せ槍の穂先を突き出した。
ぎんっ!と、高い音を立て、穂先が逸れる。
剣で槍を弾いてみせた辺境伯は、返す刃で男に向け斬りつける。
再び高い音が響き、刃が流れた。
槍の柄で凌がれた攻撃に、馬が流れて互いにぐるりと円を描く。]