― 異界門 ―[さくり、と霜柱踏み締め辿り着いた先。 一角には己が領域と変わらず雪が積もるも、他方には薄紅の花が開き、紅の葉が散り蛍が舞う。 鮮やかなる光景に目を細めるは、心奪われたからではなく] 煩わしき色だ……。[賑やかさなど不要とばかり、手近の桜花を一房、凍らせ落とす。 花弁の砕け散る音は、近くへ佇む者の耳へも届いたか。 如何なる眼差しを向けられようとも構うことはなく、視線は狩衣纏う魔神>>26の方へ]