[人狼という単語を聞き、真っ先に私の脳裏に思い浮かんだのは、遠い過去の記憶。忘れることの出来ない――目の前が血の海となった、あの日。楽しく、平穏だった『日常』が一瞬にして崩れ去った、あの日。そこに居たのは、優しかった父と母。決して、動くことのない二人。鋭い爪痕、獣の牙により裂かれた肉体。当時の幼い私は、ただ何をすることも出来ず、棒立ちすることしか出来なかったのです――。]**