― 都市上空 ―
[本来であれば、手傷を負う事などない身。
そこに刻まれた傷から零れた紅は身に纏う黒衣に影を描いてゆく]
……身を斬られる痛み、か。
[それを感じたのはさて、いつ以来か。
永き時を存在する『神種』は心の奥でこんな呟きを漏らす]
久しく受けなんだが故、忘れていたな。
[小さく呟きつつ、羽ばたく翼の動きを追う。
高度を取り、空を滑り近づく姿は先の突進にも似て。
けれど、その舞う軌道は、先とは異なるもの。
どこから来るか、正面からかそれとも、と。
鋭い刃を持ち上げ迎え撃たんとした動きに反し、迫る翼は背後へと]