[マイペースすぎるヨアヒムは、翌朝になる前に宿へ辿り着けたようだ。
幼馴染の息子であり昔から試作品の菓子や料理を食べさせていた影響からか、一切の遠慮もないが、その態度が逆に嬉しく思う事もある。
一瞬、ほんの一瞬だけ、表情を失くしたようにも見えたのは、気のせいだったのだろうか。]
[リーザや皆を影で見守るように食事時を過ごししているジムゾン。
リーザが教会で寝泊りするようになった経緯は自分から尋ねはしていないが、まさかジムゾンの子でないであろうリーザの境遇は割とすぐに察せられてしまう。
けれどすくすくと気立ての良い娘へ育っているリーザを見れば、彼女の過ごす環境もまた察することができた。
微睡むリーザを客室のどこかへ寝かせようかと思ったけれど、ジムゾンが先に動いたならば彼に任せただろう。]