―午後―[皆がそれぞれの春を満喫する頃、褐色のうさぎは台所や貯蔵庫を漁り籠いっぱいの苺を手にリビングへと戻った。タクマが持ち寄ってくれたものだろうか。だとすれば、これは食べても良いものだ。そのはず、と勝手に完結し――窓辺で変わらず居眠りを続けるリヒャルトの隣に椅子を引き寄せ、窓の向こうの光景を眺めながら苺を口へと頬張った。甘酸っぱくて、ジューシーで。幸福感に知らず頬が、緩んでしまう。]