[魔物退治。
妖星の脅威に晒されるようになってから、度々入ってくる『よくある依頼』。
今回も、その類だと思っていた。
だから、兄と、顔馴染みになった傭兵仲間、そして地元の勇士たちに囲まれてその日は戦場に出た。
弓や短刀の扱いも覚えて、多少の自衛も出来るようになっていた]
[兄の戦い方は知っている。
端から見たら無謀とも言える、単騎突入。魔物の群れの中心で、鬼気迫る勢いで次々とねじ伏せ、斬り伏せていく。――それはまるで、恨みの全てを魔物に叩きつけるようで。
そんな兄を、傭兵仲間が後方から支援し、討ち漏らした魔物に留めを刺すのが常だった。
結果、大きな傷を負うことなく兄は生還してきたし、犠牲が出ることもなかった]