[下方に視線が向くわけではなく、挨拶の言葉もなかった。褐色肌の青年は、手元の頁を捲る。ところどころに付箋紙が挟まる本の表紙には、魔技応用Tと金字が押してある。] 論述についちゃ、選別みたいなもんじゃないですか[>>31 裏庭の下方で紡がれる語りに柔らかな髪がかかった耳を動かす。片手で支える本の文字を視線で追いつつ、木々のざわめきに紛れるように、声を降らせた。]