[ モンテリー王国の王都シラーが陥落したとの報せが、魔法を駆使して「跳んで」きた伝令から伝えられた時、真っ先に男が思い浮かべたのは、ヨセフの事だった。王都の防衛の要であったマルサンヌ砦を護っていたはずの彼の安否を確かめるために、男は一族に伝わる魔石の一つを砕いて言霊を伝える精霊の道を開いたのだ ]ヨセフ![ 必死で名を呼んだ最初のコエに、返事があった時には、心底安堵したのを、はっきりと覚えている ]