[柔らかくそよぐ風が数多の花弁を舞い上げ、天上宮から城下町へと運び行く。幻惑の香を乗せた風は民らの意識を空から逸らすためのもの。舞う花弁は香を広めるためだけでなく、祝祭を彩る演出としての効果も担っていた]この目出度き日を、この地を脅かす者は何人《なんぴと》たりとも許さぬよ。[右腕を上へと振り上げ、花弁舞う風の一部を空へ走らせれば香は朱雀の下へと流れ行く。その頭上へ陰りを落とす存在へと向けた、目晦ましの一閃**]