― 回想・外務長官執務室>>1:292 ―
[アイリの緩んでいた顔に緊張が走る。
自身も気になりすぐに止めたその言葉、聞かれていたことに心の中では内心穏やかにはならなかった。
尉官があの場であのような失言、一気に混乱の場へと移行させたあの一言は、状況一つで即処断の対象となりえよう。
それは私とて同じことではあるが、不満が噴出したからまだ良かったのだ。
先にシュナウザーやウォルシュ王子自身に聞かれ、冷静に厳と咎められ静まり返った状況ならば、私とて庇えるものでもない。
フィオンに聞かれていることが判明している以上、失言を詫び、出すぎた真似と本題に触れずに謝罪してくれることを願った。
しかし私の心配をよそに彼女はどんどん自分の気持ちをあのときの私のように吐き出している。如何に自分と同じ思考とは言え、しだいにこれ以上は危険と考え言葉を添えた。]
・・・フィオン殿、聞かれていた以上はその者も答えたが
一つ間違えば私がその質問を私の前でするそなたを看過出来なくなる。
調査は監査と参謀でするのであろう?
筋として私は委ね、
王子の一面を聞きに伺ったが詮索をしにきたわけではない。
それ以上及ぶならば全てひっくり返して先ほどの続きを行うが、
それを望みたいか・・・?
[アイリの雰囲気は一瞬で殺気を匂わせたものへと変わる。
まだ混乱から時刻も経っておらず、穏やかだった雰囲気もすぐに凍りついた空気へと張り詰める。]
次はぜひまた穏やかに話をしたいものだな・・・
長々と失礼した・・・ そろそろ行くぞドロシー!
[席を立ち、ドロシーの首を引っ張り連れていく。
その夜ドロシーの頬には珍しくアイリからの拳が見舞われたことだろう。*]