― キサン ―
[ずいぶんとアバウトな頼みに応じてチャールズが工房の中から持ってきたのは、とびきり大きな剣だった。>>28
シンプルで武骨で重量感に溢れていて、刃は無いながらも打ち込まれた炉の熱と鎚の重さが冷たい鋼の上に跡を残している。
分野は違えど、職人の真摯な技が込められているのはよくわかった。]
すげえなこいつは。
こいつなら存分に振り回せそうだ。ありがてえ。
ありがたく借りてくな。
[試しにと振り回せばぶううんと空気が鳴る。
最初こそ重さに振り回されたが、幾度か振ううちに次第に慣れて、風裂く音も高く早くなった。
まんざらでもない顔でツヴァイヘンダーを担いで、弟子たちのところへ戻っていく。]