― 銀色の記憶 ―[ルートヴィヒと。そう名乗った彼は今まで会ったどの人間とも違う人でした。私の身近では…或いは、知り合う機会のあったどんな人の中にも、鉱物の名を冠するに相応しく美しい髪を持った人はいなかったのですから。夜空に浮かぶ星にも似た色の瞳は空に薄く棚引く雲を閉じ込めたようにも見えて、私は目を見開いてその双眸を見つめていました。私がようやく我に返ったのは。一歩、庭の草を踏み締める音がしてからでした。>>36]