悪いが、まだ仕上がっていない。
…――――もう少しだけ、待ってくれ。
[その場は断り、伝令を返した。
そうしてマリーへと、雛鳥として指名が来た旨を伝える。
けれど、一度は断ったものの、
何処かから情報が漏れたのだろう。
マリエッタを求める指名は、軍を中心に更に複数舞い込んで。
そんなある日、マリーが一人でいる時を見計らったかのように、
メイドが彼女を迎えに来た。
複数のメイドが少女を水色のエプロンドレスに着替えさせ。
抵抗する間もなく連れて行かれたのは、
雛鳥が客を相手にする為の一室だった。
生活感の無いベッドだけのそのあつらえは、
知識が無くともある種の異質さを少女に伝えただろうか]