[ そのリングは、二つ揃って、ずっと占い師の手元にある。けれどいつから持っていたのかを、彼自身覚えていない。一方のリングが最初から透明だったのかどうかも......... ]『忘れちゃったんだよねえ』[ 以前、問わず語りに、そんな風に...やっぱり笑って言ったのを、ヴェルナーは覚えているだろう ]『だけどなんだか大事な気がするから捨てられないんだ、綺麗だからいいよね』[ 忘れた事を、思い悩むという風でもなく、それでもどこか愛おしそうに、透明なリングを指先で撫でていたことも ]