[兄の少し後ろを歩きながら、思いを巡らす。
両親の事は、あまり覚えていない。他のきょうだいの事も。
妖星の脅威によって、皆死んだと聞かされたのは何時のことだったか――。
何れにせよ、気がついた時には、家族と呼べる存在はヴェルナーひとりだけになっていた]
[子供の頃から傭兵として働き、自分を養ってくれた兄に酬いるため、後を追うように少年もその道に進んだ。
そうは言っても自分はまだ子供で、戦場に出るには体つきにも恵まれていなかったから、 物資の調達や情報収集が主な役割ではあったが、それでも兄の役に立てることが嬉しかった。
――そう、あの日までは]