― 月の舞台 ― ヴィンセント、……様……。[教えられた名を、声に出して呟く。 水中に慣れた身に、空気に響く音は少し奇妙にも聞こえたが、この先しばしを共にする音声として噛み締めるように口にし] ええ、……そうさせて頂きたく。[この時、他の竜神の姿はその場にあったか否か。 いずれにしろ、自分ほど大きな環境の変化を味わう者は多くはないだろうと思う。 それが不利となることはあってはならないと、心中に刻みつつ、一礼してその場から下がる。 先に待ち受けるものについては知らぬまま**]