そうだね、君の兄はゲルトだけ
――俺の”妹”は、君じゃない
[だから俺も、やはり君を選べない
訣別の言葉を自ら、吐いた
護りたかった。だがそれ以上に――
欲しかったものがあったから
――構えられた刃は血に汚れている>>39
一晩で刃の周囲に固まった血は切り裂くことを邪魔をするだろう
幼い頃だが各地を旅してきた神父故
血に濡れた解体ナイフを放置して、肉屋のお兄さんに
だめだなーと笑って諭された過去を思い出す
きっと切り口は鈍い筈だ、とわかっていても
それは窓からの光を浴びて鈍く光っている
自分たちに、向けられた刃に。殺意に一瞬だけ動きを止めた]