[差し出された権利書を放置したまま、携帯を取り出し]
――『ヴェストファーレン条約は締結された』。
[それは、作戦中止と撤退を促す符丁。
「得体の知れない何か」なら、部下の気配が消えたことはすぐわかるだろう]
いいわ。ヒラでやりましょう。
あたしが勝つにしろ他の人が勝つにしろ、鉱脈のことはそれからでいいわ。
[逆に危険な鉱脈を処分するという形で、富を得る可能性はないか。
そんな算盤を弾き始めているのは否定できない。
そしてその方向に行くなら、優しい言葉に銃を添える相手は目の前の男や新領主ではない]
さ、そうと決まればグリード振りに戻るわよ。
あたしが勝つ可能性もまだあるしね。
[思考をすっかり切り替えると、今までのやり取りなどまるで無かったかのように、微笑みを浮かべて言った*]