ん、そうだね……。
[シモンに、本当の手紙が発見されたのだと仮定するならばどう考えるか問われると、少しばかり考えるそぶりを見せる。
己が狼であるか人間にあるかに関わらず、中々に難儀な質問だ。]
可能性を指摘するのであれば、ニコラスが自分に力があるものだと思い込んでいる人間で、ヨアヒムもニコラスも両方とも善意の村人だと言う可能性まで考えられるのだけれども、普通に考えるのであればどちらか片方のみが善意の村人であると考えるべきだろうね。
結論から言ってしまえば、その仮定でこのことについて考えるのであれば、“一旦置いておく”という結論になる。
手紙の内容が本物であるのなら、告発されているヨアヒムは既に殺されている。もしも人狼が彼一人でなかったとしても、少なくとも僕の知る限りでは死んでしまったヨアヒムが狼だと発覚したところで不利になる人間も得をする人間も思い当たらない。
更に言えば、人狼が二人以上いたところでその二人が協力関係にあるかどうかすら分からないし、互いに存在を認知していたかどうかすら分からない。人狼にとっての万物の尺度が人間と等しいとも限らない。