……でも……うん、そうだね。
『ひととけものが仲良く暮らせる』なんて。
それこそ、そっちの理想郷でもなきゃ実現できないよ。
……同胞を、自分を害される危険を抱えたまま、共に生きるのは難しすぎるもの。
それこそ、ひとがみんな同じくらい優しくて。
狼がひとを喰らうのを、当たり前の摂理として受け入れてくれでもしない限り。
……でも、それはきみたちにとっては許し難い、受け入れられない『悪』だ。
……だから、ぼくは、きみたちと距離をとらなきゃいけないな、って。
あの時、思ったんだよ。
[村を離れ各地を巡る生き方を選んだ理由。
これまで、誰にも打ち明ける事のなかったそれをぽつり、と零した後]