いいから逃げろ!
今、お前達に出来るのはそれだけだ!
羽根も生えそろわない雛鳥に、ここで出来ることなぞ無い!
[ 脱出を躊躇う年少の子供達を怒鳴りつけるのは、それが教師の役目だからだ。
一年前の首都陥落で、親兄弟を亡くした者も多く、教師を親代わり、友を兄弟と思う気持ちが、その足を鈍らせているのだと知った上で。 ]
足手まといになりたくなければ、さっさと脱出しろ!
[ 今、この状況での脱出路は、空しか無い。
飛行の術を上手く使えぬ者にはそれを得意とする引率の教師が付き添い、防御の術を得意とする者が地上からの弓矢を防ぎながら、少数ずつ、微妙に方向を違えて飛び立っていく。
まるで、狩人から逃れようとする渡り鳥の群のように。 ]