[アリシャスタン国王の在位十周年の式典だったと記憶している。
表敬訪問に来たロワール飛行艦隊を率いていたのがクレメンス・デューラー元帥だった。
「空飛ぶ船に乗せてほしい」と頼んだら、自ら艦橋を案内してくれた。
毅然としつつも、大国をバックにした威丈高さを感じさせない雰囲気で、
自分にも孫が幼い孫がいると教えてくれたのを思い出す。
こうして再会できて、懐かしく嬉しい人物の一人である。が、]
…、
[さて、なんと挨拶すべきか。
デューラー元帥が知る“ダーフィト王太子”は公式には6年前に事故死したことになっているのである。]