…あの時の君には随分と酷いことを言ったな?
私も若かったが、それにしても――…
[ ローレル、の名を呼ぶ声に
表情が曇ってしまったのは
きっと伝わっていただろう。
それでも、何も問われないことに
内心で安堵を覚えながら、
懐古を顔に浮かべて言葉を続ける。 ]
君の絵の後にローレルの絵を見てね。
あれの絵で君の名前まで忘れてしまったのは
……悪かったと、思っているよ。
[ "現在"の話は敢えて避けた。
彼女が何処へ行ってしまったものだか
絵描きにもわからなかった、…いや
わかってはいた。いたけれど、
"なぜ"の答えは知るべくもないのだ、
安直な言葉を放りたくは無かった。 ]