― 王都 ―
[馬車が王都の端へとついた頃、北へと向かう国軍>>31の隊列とすれ違う。
民達は身を寄せ合い、不安げな顔でその背を見送っている。王都から北の城塞までは馬を走らせ一日ほど。果たしてそれまで持ちこたえられるだろうか。]
……それにしても、皮肉なもんだね。
国をまとめるためには、外敵を作れば良いとはよく言ったもんだよ。
[互いに諍いあい王宮への不満を募らせていた民達が、この窮地に至り少しずつではあるが同じ方向を向き始めている兆しがあった。]
あとは……
[ぽつり、とこぼし。王城を仰ぎみる。
王の死を発端とした不穏な翳りは王宮に集中している。国の行く末の鍵を握る者は、あの白亜の城にいるのだろう。**]