― 魔都シラー ―
[ シャン、と、軽やかな鈴の音が、重く都を包む闇の中に響く ]
[ ある日、行われる筈だった処刑ショーが中止になった ]
『逃げたって...?』
『...誰かが逃がしたと...』
『いや、移送中に...』
『光の矢を見たって...』
『.........鈴の音が聞こえ......』
[ シャン...シャン...鈴の音は、重なる ]
『もうすぐ......』
『.........助けが...』
『...精霊の、お告げ......』
[ 人々の間に、複雑な文様のスカーフが、ひっそりと流行り始める。正体不明の流れ者の商人が持ち込んだそれは「精霊の御守り」だと噂された ]