――俺はな。
国のためだの任務のためだの、そんなお題目を信じて殺し合いが出来るほど幸福な人間じゃない。
俺みたいなのが戦うには、もっと、判り易い理由が要るんだよ。
[それが何かなんて、いま、言うまでもない]
――その理由を与えたのはお前たちだ。俺に銃を握らせたのはお前たちだ。
有り難過ぎて涙が出るんで、せめてものお礼の気持ちに、鉛弾を贈ってやるよ。
[そうして、拳銃を抜いて。
司令塔の隅に積まれた毛布の山向かって引き金を絞った。この銃声が宣戦布告だ]
――二度と顔も見たくないが、このプレゼントを直接届けるために会いに行くよ。じゃあな。