────…、
[何気なく、血の散った足元の書類を拾い上げた。
こんなところに散っていては、踏みつけて危ないだろうと思ったのだ。拾い上げ、何気なく視線を落としたウェルシュの眉が寄せられる。
それを、傍らのシュナウザーへと黙って手渡した。
それは一見、外交文書のようにも見える。外交文書を装った…他国の密偵とのやり取りとも思える文書>>2:270だ。
紙切れ一枚は、その場の騒ぎに見咎める者もなく。
無論、部屋に散る"証拠"はそれだけではなかっただろうが、ともあれ今捜索出来るものでもなく、ウェルシュはその場を後にした。]