― しばらく後・クラタエグス砦 ―…私の名は、ジークムント=キース=バルト。サイプレス王国軍中将バルト候の庶子だ。[ 砦に運ばれ、一応の治療を施された後、捕虜として尋問を受けた彼は、そう名乗りをあげた ]バルト候の放蕩息子…そう言えば、この砦にも知ってる奴はいるんじゃねえか?[ 海精軍の中央に近い位置に在る将軍の息子…そう知れれば、主筋に当たる彼を生かそうとしたウェルシュに罪有りと断ずる事も躊躇われるはずだ、と、そう踏んでの、新たな賭け ]