うむ、良い返事だ。……"デンプヴォルフ《狼を絞め殺すもの》"、な。お前には要らぬ名だ。これは己《おれ》が貰っていこう。[破顔した男が、傷を合わせた掌を握る。絡んだ指の間から光が溢れ出し、目映い輝きが向かい合う二人を包んでいく。男の言葉に呼応したように、手首に伝った赤い雫が浮き上がり、宙に文字を描いた。"Dempwolff"と綴ったそれを、空いた左手で握り潰して。砕けた文字は地に落ち、新たな花を咲かす。緋色の草原は、今や二人の放つ青銀と琥珀の光に照らされていた。]